TXOne Networks グローバル製品マーケティング シニアディレクター
「このレガシーシステムはセキュリティ上のリスクだから、対策が必要だ」と言われたことはありませんか?
それはあなただけではありません。多くのOT部門にとって、これはIT部門の同僚からの「提案」、または「強い働きかけ」として始まる会話です。しかし、なぜ今この話題が急浮上しているのか、そして自社の運用に支障をきたすことなくどう対応すべきか。
本記事では、OT環境でレガシーシステムを安全に運用し続けるために押さえておくべき脅威と対策、そして現場に適した現実的な選択肢について解説します。
まずは一歩立ち止まり、全体像を把握しましょう。これらのシステムで今何が起きているのか、なぜ注目されているのか、そして運用の妨げにならずにどう対処できるのかを整理します。
OT/IoTデバイスやシステムは、IT資産と比較してライフサイクルが格段に長くなります。そのため、レガシーなデバイス、ソフトウェア、OSは、多くの現場で今なお現役です。
このようなデバイスで増大するリスクの管理は、新しいバージョンに交換すれば済むというような簡単なものではありません。
— Omdia、『セキュアな産業用OTおよびIIoTサイバーセキュリティネットワーク調査』、2023年
なぜレガシーシステムが問題視されるのか?
Windows XPや2000などのレガシーWindowsシステムは、長年にわたり産業環境を支えてきました。安定稼働を続け、生産を支える心強い存在だったため、つい最近までセキュリティ面で問題があるとは思われていませんでした。
しかし今、セキュリティの状況は大きく変わりつつあります。かつて信頼されていたこれらのシステムは、進化する脅威の前では”アキレス腱”となりつつあるのです。
その理由は次のとおりです。
- 時代遅れの防御機能:現代の高度なサイバー攻撃に対応できる設計ではなく、時間の経過とともに防御機能が陳腐化しています。よって、攻撃者が狙える隙が生まれています。
- 製品サポートの終了:ベンダーのサポートが終了し、脆弱性へのパッチが提供されないため、マルウェアやランサムウェアの侵入口となり得ます。
- 規制の強化:最新のサイバーセキュリティ基準を満たすために、レガシーシステムの安全性が厳しく問われるようになっています。
これは「架空の脅威に過剰反応している」わけではありません。実際、保護されていないOT環境を狙ったインシデントが増加しており、対策を講じなければ自社システムが「格好の標的」となってしまう可能性があるのです。
OT運用にとってのレガシーシステムの保護とは?
セキュリティはOTチームにとって数あるタスクの1つに過ぎません。機器の安定稼働を保ちつつ、生産スケジュールや厳しい予算を管理するのは容易ではありません。その中で、「レガシーシステムを保護すること」は、IT主導の新たなタスクに見えるかもしれませんが、実際はより深刻な問題です。
なぜなら、これらのシステムは今なお運用の中核を担っているからです。これを保護するのは、単にIT部門の意向や、コンプライアンスのためではありません。「稼働停止の回避」という本質的な目的に直結するからです。
OTシステムを狙ったサイバーインシデントは、次のような結果を招く可能性があります。
- 稼働停止:ランサムウェアやマルウェアによる感染で生産ラインが止まり、数百万ドル規模の損失につながる可能性があります。
- 安全リスク:システムの侵害により、設備やプロセス、さらには作業員の安全性にも悪影響が及びます。
- 波及効果:部分的な侵害がネットワーク全体に広がり、全体的な運用リスクを引き上げてしまいます。
まずは、こうしたリスクを正しく理解することが、効果的な対処を検討する第一歩です。
選択肢の検討
ITとOTの統合は、単なる技術的な話ではありません。産業現場特有のリアルタイム性を理解し、適応したセキュリティが求められます。すべての企業に当てはまる万能の方法はなく、環境に合わせたカスタマイズが必要です。
— Omdia、『セキュアな産業用OTおよびIIoTサイバーセキュリティネットワーク調査』、2023年
とはいえ、安心してください。安心してください。運用を妨げるようなコストの高いアップグレードを即断する必要はありません。複数の選択肢があり、それぞれに利点があります。
延命と保護の両立:レガシーシステムを稼働させたまま、最新の脅威から守るソリューションがあります。現場に適したツールの導入により、入れ替えやアップグレードを回避できます。
戦略的なアップグレード:どうしても置き換えが必要なケースでは、リスクの高いシステムに限定して計画的にアップグレードすることで、コストとダウンタイムを最小限に抑えられます。
ハイブリッド戦略:多くの企業では、延命策とアップグレードを組み合わせることで、柔軟性とコスト効率のバランスを両立させています。
ITとOTのバランスの取れた視点を
私たちは、お客様が直面するプレッシャーを理解しています。IT部門からのセキュリティ強化の要請と、現場としての安定稼働の維持。その狭間で悩んでいる方も多いことでしょう。
しかし、これらは決して相反するものではありません。正しいアプローチを取れば、ダウンタイムを回避しながら、必要な信頼性とセキュリティの両立が可能です。
TXOneにまずお気軽にご相談ください。
製造業界のサイバーセキュリティ課題は常に変化しています。TXOneはお客様のサイバーセキュリティに関する課題について最適なOTセキュリティソリューションが提供できるよう、いつでもお手伝いさせていただきます。お問い合わせ内容を確認後、担当者より迅速にご連絡致しますので、お気軽にお問合わせください。
おすすめ記事

OTのエンドポイントデバイスにセキュリティ製品がインストールできないって本当?
OTの世界ではITの世界以上にセキュリティ製品の導入を阻む壁がいくつも存在します。本記事では、OTエンドポイントセキュリティに関する導入を阻む壁について紹介しつつ、その壁をどのように乗り越えていくかについて解説します。