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工場セキュリティガイドラインに基づく工場セキュリティ対策

Jul 31, 2025

工場セキュリティガイドラインに基づく工場セキュリティ対策

本記事では、経産省が発行する工場セキュリティガイドラインの内容を解説し、具体的なセキュリティ対策、インシデント対応手順などを紹介します。さらに、TXOneの工場セキュリティソリューションについても解説します。

 

 

なぜ工場のセキュリティ対策が重要なのか?

製造業においてセキュリティ対策の必要性が高まっている背景には、サイバー空間と現実空間が密接につながるようになった産業構造の変化があります。

従来、工場内の制御システムは外部から隔離されていましたが、近年はIoTやクラウド活用の進展により外部ネットワークとの接続が一般化しています。その結果、サイバー空間からの脅威が工場の操業や品質、安全性に直接影響を及ぼすリスクが現実のものとなってきました。

では工場がどのようにサイバー攻撃の標的となっているのか、具体的に紹介します。

 

サイバー攻撃の標的となる工場

近年では、特に重要インフラや高度にデジタル化された工場がサイバー攻撃の対象となるケースが増加しており、企業にとって大きなリスクとなっています。製造プロセスの停止や機密情報の流出は企業活動に甚大な影響を及ぼすため、攻撃者にとっては高い効果が見込める標的となりやすいのです。

また、製造業のデジタル化が加速し、工場のシステムがインターネットに接続される機会が増加していることで、攻撃者にとってより攻撃しやすい環境が生まれています。

中でもランサムウェアによる攻撃は深刻です。システムがロックされ、操業が完全に停止することもあり、その結果として生産性の低下や取引先からの信頼喪失といった深刻な影響を招きかねません。

このようなリスクを軽減するためには、工場でのサイバーセキュリティ対策が欠かせません。例えば、ネットワーク監視、アクセス権限の適切な管理、データ暗号化などが具体的な対策として挙げられます。

こうした対策を適切に実施することで、工場システムを保護し、サイバー攻撃による損害を最小限に抑えられます。

 

物理的侵入のリスク

工場におけるフィジカルセキュリティも重要な課題の一つです。不正侵入は、サイバー攻撃と同じく工場運営に深刻な影響をもたらす可能性があります。例えば、侵入者が工場内にマルウェアを仕込んだUSBを持ち込むことで、USB経由でマルウェアに感染することや、重要データを窃取したりするケースが想定できるでしょう。その結果、製造ラインの停止や製品品質の低下といったリスクが生じます。

物理的侵入のリスクを軽減するには、工場のフィジカルセキュリティ対策が欠かせません。主な対策として、持ち込みUSBやPCのマルウェアスキャン検査や、監視カメラの設置、入退室管理システムの導入、警備員の配置などが効果的です。

これらの対策を適切に実施することで、工場内の安全を確保し不正侵入を未然に防止できます。

 

経産省ガイドラインの概要

工場のセキュリティ対策を検討する上では、経済産業省が発行している「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」が参考になります。経済産業省が主導するかたちで、製造業におけるサイバーおよびフィジカル両面のリスクに対応するための考え方や具体策が体系的に整理されており、実務に直結する内容がまとめられているのが特徴です。

このガイドラインの概要を紹介します。

 

サイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドラインの目的と対象

経済産業省が策定した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」は、製造業のセキュリティ強化を目的としています。ガイドラインで示されているのは、工場の経営陣やセキュリティ担当者が効果的なセキュリティ対策を実施するための具体的な指針です。

対象は製造業全般ですが、特にDX化が加速している工場ではサイバーセキュリティとフィジカルセキュリティの両方について包括的な対策が必要とされています。

ガイドラインの狙いは工場のセキュリティレベルを底上げし、サイバー攻撃や不正侵入から企業を保護することです。セキュリティ対策の強化を通じて、製造業全体の信頼性向上と競争力強化を図ることが期待されています。

 

サイバー・フィジカル・セキュリティ対策の主な内容

「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」は、企業のセキュリティ強化を支援するため、具体的な対策を詳しく示しています。主な内容として、サイバーセキュリティとフィジカルセキュリティの両方について包括的な対策が盛り込まれています。

サイバーセキュリティ分野で推奨されているのは、ネットワーク監視、アクセス制御、データ暗号化などの技術的対策です。フィジカルセキュリティについては、監視カメラの設置や入退室管理システムの導入といった対策が示されています。

さらに、ガイドラインにはセキュリティ対策実施のためのチェックリストも含まれており、企業が自社のセキュリティ状況を客観的に把握し、必要な改善措置を講じる際の指標として活用できます。

 

具体的なセキュリティ対策

工場のセキュリティを実効的に強化するためには、抽象的な方針にとどまらず現場で実施可能な具体策を検討・実行することが欠かせません。工場を取り巻く脅威はサイバー空間からの攻撃だけでなく、物理的な侵入やサプライチェーンを通じたリスクなど多岐にわたります。そのため、それぞれの側面に応じた対策をバランスよく講じることが求められます。

加えて、国際的なセキュリティ規格(たとえばIEC 62443など)や経済産業省のガイドラインに準拠した対策を講じることも、信頼性の高いセキュリティ体制の構築に有効です。 これらの規格では、対策の網羅性や優先順位の判断に役立つチェックリストも整備されており、企業が自社の対策状況を定期的に評価・改善するための指標として活用できます。

ここでは、工場に必要とされる代表的な3つのセキュリティ対策について、順に解説します。

 

サイバーセキュリティ対策

工場のサイバーセキュリティ対策は、主にネットワークセキュリティの強化から始まります。工場内ネットワークを外部の不正アクセスから守るため、ファイアウォールや侵入検知システムの導入が不可欠です。これらのシステムにより、攻撃者によるシステム侵入のリスクを大幅に軽減できます。

加えて、定期的なセキュリティパッチの適用も重要な対策です。既知の脆弱性を迅速に修正することで、攻撃者に狙われる隙を減らせます。

一方で、技術的対策だけでなく、従業員のセキュリティ意識向上も欠かせません。工場システムセキュリティガイドラインに沿って定期的なセキュリティ研修を実施し、フィッシングメール対策やパスワード管理の重要性を周知徹底することが大切です。

こうした取り組みにより、ヒューマンエラーによるセキュリティリスクを最小限に抑えられます。

 

物理的セキュリティ対策

工場の物理的セキュリティ対策は、不正侵入を防止することを主な目的としています。まず基本となるのが、工場敷地内への監視カメラ設置と24時間監視体制の確立です。これにより不審な活動を早期発見し、迅速な対応を取ることができます。

また、入退室管理システムの導入により、許可された人員のみが特定エリアにアクセスできる仕組みを構築することも重要です。

さらに、施設の規模やリスクレベルに応じて警備員の常駐や定期的な巡回といった対策も実施するとよいでしょう。こうした対策により侵入者への抑止効果を高め、工場内の安全を確保することが可能になります。

 

サプライチェーンセキュリティ対策

工場のセキュリティ強化には、サプライチェーン全体でのセキュリティ対策が欠かせません。サプライチェーンのセキュリティリスクは、工場運営に直接的な影響をもたらす可能性があるためです。

例えば、サプライヤーがサイバー攻撃を受けた場合、その影響が自社工場にまで波及するケースが想定されます。そのため、サプライチェーン全体を視野に入れたセキュリティ対策が必要です。

具体的な対策として、サプライヤーとの契約時にセキュリティポリシーの遵守を義務付けることが考えられます。さらに、サプライヤーのセキュリティ状況を定期的に評価し、必要に応じて改善を要請することも効果的です。

こうした取り組みを通じてサプライチェーン全体のセキュリティレベルを底上げすることで、工場の安全性確保に繋げられます。

 

インシデント発生時の対応手順

どれほど万全なセキュリティ対策を講じていても、リスクを完全にゼロにすることは困難です。そのため、インシデントが発生した場合に備え、適切な対応手順をあらかじめ整備しておくことが重要です。初動対応の遅れや判断ミスは被害の拡大や業務の長期停止に繋がりかねません。

ここでは、インシデント対応において押さえておくべき基本的な流れについて解説します。

 

発見

インシデントが発生した際は、いかに迅速に発見できるかが重要なポイントです。工場のセキュリティシステムには、異常を検知するための監視機能が不可欠です。例えば、ネットワーク上の異常なトラフィックや不正アクセスの試行をリアルタイムで監視することで、インシデントを早期に発見し、迅速な対応を実現できます。

一方で、技術的な監視システムだけでなく、従業員のセキュリティ意識向上も早期発見には欠かせません。従業員が異常に気づいた際に適切に報告できる体制を整備することで、インシデントの拡大を未然に防げます。

こうした技術面と人的面の両方からのアプローチにより工場全体のセキュリティを強化し、インシデントによる影響を最小限に抑えることができます。

 

分析

インシデントが発生した際は、原因の迅速な分析が不可欠です。分析の目的は、インシデントの根本原因を突き止め、効果的な再発防止策を策定することです。

ログデータの詳細解析やシステムの脆弱性評価の実施を行い、攻撃手法や侵入ルートを特定しましょう。分析を行うことで、的確な対策を講じられます。

さらに、同種のインシデントの再発を防ぎシステム全体のセキュリティレベルを底上げするためには、分析結果を踏まえてセキュリティポリシーの見直しを行うことも重要です。

工場の経営陣や管理担当者はインシデント分析の重要性を十分に認識し、適切かつ迅速な対応を取らなければなりません。

 

復旧

インシデント発生後の復旧作業は、工場運営の早期正常化に欠かせません。復旧作業では、被害を受けたシステムやデータの修復が中心となります。まずはバックアップデータを活用してシステムを元の状態に復元し、工場の操業を迅速に再開することが最優先に実施しましょう。

復旧完了後は、再発防止に向けた取り組みを継続的に行うことも重要です。セキュリティシステムの強化や従業員向けセキュリティ研修の実施などが効果的です。

こうした対策により、同種のインシデントの再発を防ぎ、工場全体のセキュリティレベルを向上させることができます。

 

TXOneの工場セキュリティソリューション

工場の複雑な制御環境を守るため、TXOneはOT/ICS環境に特化した実践的なセキュリティ対策を展開しています。

 

OT/ICS環境に特化したセキュリティ対策

スマートファクトリーの実現においては、データの収集・共有・分析が生産性向上の鍵を握ります。しかし、こうした取り組みは、多様なベンダーの機器や老朽化した設備が混在するOT環境において、セキュリティ面で大きな課題を抱えているのが実状です。

TXOneは、このようなOT/ICS特有の課題に対応するセキュリティソリューションを提供しています。弊社が採用する「OTゼロトラスト」アプローチは、使用中・送信中・保存中すべてのデータフローを検査・保護し、あらゆる脅威の侵入経路を監視・遮断します。

堅牢なネットワークアプライアンスによってマイクロセグメンテーションを実現し、特定のセグメントに対する攻撃が他の工程に波及することを防止。また、仮想パッチ技術により既知の脆弱性を悪用した攻撃やゼロデイ攻撃を防ぎ、資産のセキュリティを強化します。

加えて、ミッションクリティカルな設備をホワイトリストで制御し、USB経由のマルウェア侵入を防ぐポータブルスキャン機能も搭載。技術者が業務を止めずにセキュリティ管理を行えるよう支援しています。

TXOneのOT環境に特化した包括的エンドポイント保護ソリューションはレガシーOSや変化の激しい新しいシステムなど様々な環境に適した柔軟な守り方を提供します。

こうした多層防御の仕組みにより、TXOneは現場の業務継続性を保ちつつOT環境全体を包括的に防御するセキュリティ基盤を提供しています。

 

まとめ

工場のセキュリティ対策は、サイバー攻撃や不正侵入から企業を保護するために欠かせません。経済産業省のガイドラインを参考に、サイバーセキュリティとフィジカルセキュリティの両方について包括的な対策を実施することが重要です。

さらに、サプライチェーン全体を視野に入れたセキュリティ強化も必要です。万が一インシデントが発生した際は、迅速な発見・分析・復旧の流れを確立しておくことで、被害を最小限に抑えられます。

こうした取り組みを通じて工場の安全性を確保することで、企業の信頼性向上と競争力強化を実現可能です。要点を踏まえて、工場セキュリティの継続的な改善に取り組みましょう。

 

 

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製造業界のサイバーセキュリティ課題は常に変化しています。TXOneはお客様のサイバーセキュリティに関する課題について最適なOTセキュリティソリューションが提供できるよう、いつでもお手伝いさせていただきます。お問い合わせ内容を確認後、担当者より迅速にご連絡致しますので、お気軽にお問合わせください。

 

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