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【導入事例紹介】「規格対応」から見えた、現場力と未来志向 ~ 日本電子株式会社様

Jun 18, 2025

【導入事例紹介】「規格対応」から見えた、現場力と未来志向 ~ 日本電子株式会社様
執筆者:西尾 麻里
プロダクトマーケティングマネージャー

こんにちは、Element製品プロダクトマーケティング担当の西尾です。
今回は、新しく公開となりましたElement製品のお客様導入事例とその見どころについてご紹介します!

 

 

国内初、SEMI E187の適合証明取得。その裏側にあった現場の試行錯誤とは?

半導体製造装置のセキュリティ要件が世界的に厳しさを増しています。その中心にあるのが、国際業界団体SEMIが定めた新たな規格「SEMI E187」。装置が“出荷時点で安全である”ことを証明するこの基準は、マルウェアの侵入・拡散リスクを減らすうえで、重要な指針となりつつあります。

そんな中、日本電子株式会社様(以下、日本電子)は、日本で初めて第三者認証機関からSEMI E187の適合の証明を取得。
その背景には、技術的なハードルや多くの戸惑いを乗り越えながらの粘り強い挑戦がありました。

日本電子株式会社 社屋(同社提供)

 

見どころ1―「どうすれば…」から始まったSEMI E187適合への道

SEMI E187への対応は、日本電子にとってまさに”突然の宿題”でした。ある主要顧客から「SEMI E187への適合を装置の納入要件とする」との通達があったのです。

急きょ取り組みを開始するも、装置出荷前のサイバーセキュリティ対策という未知の領域に現場は戸惑いを隠せません。
慣れないセキュリティ用語をひとつずつ調べ、セミナーや業界イベント情報収集を重ねる日々。チームは試行錯誤を続けますが、「結局、どのようにして”適合”すればよいのか」という根本的な疑問が立ちはだかります。

限られた時間の中で高まるプレッシャー。そんな中、日本電子が見出した突破口とは?

 

見どころ2―立ちはだかった「脆弱性スキャン」の壁

SEMI E187へ適合するためには、全12項目にもわたる技術要件をクリアしなければなりません。その中でも、特に現場を悩ませたのは「エンドポイント保護」に含まれる”脆弱性スキャン”の要件でした。これは、装置に搭載されたPCに重大な脆弱性がないことを示すスキャンレポートを提出しなければならない、というものです。

ところが、市販の脆弱性スキャン製品は多くがネットワーク接続を前提としており、台数課金モデルも多いため、出荷前のスタンドアロン状態にある装置内PCには適用が難しいという問題が浮上。要件にどう対応すべきか、現場は判断に迷いました。

この課題をどう乗り越えたのかーーその具体的方法とは?

 

見どころ3―SEMI E187適合達成、その先に見据える未来

顧客からの強い要請を受けて取り組んだSEMI E187適合。日本電子では、装置出荷前に求められる検査プロセスを整備し、国内初の適合証明取得という大きな成果を手にしました。

しかし、今回の取り組みはゴールではなく、新たなスタートでもあります。この経験を活かし、日本電子では現在、より広範なグローバルセキュリティ要件への対応に向けた全社横断のプロジェクトを進行中。現場起点で始まった取り組みが、いまや全社的な動きへと発展しています。

果たして日本電子が描く次のステップとは?
そして、今回の取り組みを通じて見えてきた本当の意義とは?

 

「規格対応」から見えた、現場力と未来志向―インタビューを終えて

今回、国内初のSEMI E187適合という極めて新しい要件に挑んだ日本電子様の取り組みについてお話を伺う機会をいただきました。現場の最前線でご対応された金田様、小泉様には、限られたお時間のなかで非常に率直かつ具体的なお話をお聞かせいただき、この場を借りて改めて感謝申し上げます。

印象的だったのは、「突然ふって湧いた要件への対応に、現場がどう向き合ったのか」という生々しいリアルです。慣れないセキュリティ用語、前例のない対応プロセス、そして時間の制約――多くの企業が直面するであろうその”困惑と手探り”を、日本電子様ではひとつひとつ冷静に分析し、試行錯誤を重ねながら前へ進めていったのです。

本事例は、単なる規格対応の成功例ではありません。むしろ、多くの制約の中で「どうやればやりきれるのか」「どんな考え方や対応が必要なのか」といった、ものづくり企業ならではの”現場発の答え”を導き出した記録といえます。
今後ますます高度化・複雑化していくサイバーセキュリティ要件に向けて、本事例が他の企業様にとっても大きなヒントとなることを願っております。セキュリティはもはや”出荷品質の一部”。そうした考え方を、日本電子様の取り組みは明確に教えてくれます。

ぜひ、この”現場から生まれたストーリー”を、皆様の今後の取り組みにお役立てください。そして、TXOne Elementシリーズ製品がどのような形で現場の課題解決に貢献できるのかー―その一端を感じていただけましたら幸いです。

【SEMI E187国内初事例】TXOneが脆弱性・マルウェアスキャン要件での適合を支援

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SEMI E187適応事例をご紹介します。SEMI E187対応に課題を抱えていた日本電子株式会社はTXOneのElementシリーズソリューションを導入。その結果、5カ月間で適合証明取得を実現しました。

インタビューを終えて、日本電子 金田様(中央)、小泉様(中央から向かって左)とTXOne担当者

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